第2回目テーマは     デファレンシャルをOHしよう!



クラッチを繋いでいる時にアクセルペダルを踏んでいる状態から停止する時にアクセルを抜きますね。
その時にデフの方から「ごごお・・・ごごごご・・・」とジャダー音が聞こえてくるようになりました。

しばらく、ごまかしていましたが大病してからだと大手術になると思い今回OHに踏み切りました。
OHするに当たって、以前、私の車(2000GTV)のミッションのOHを頼んだ岐阜県の篠田レーシング様と
パーツの供給でキヨラパーツセンター様にご協力して頂き今回当HPで詳細を公開致します。


今回のOHに当たってまず、リアアクスルのみを岐阜に送ることにしました。
よって、リアアクスルの脱着はこちらでして、パーツを篠田レーシング(以下、篠田さん)に送るようにしました。
左の写真を参考にしながら説明をしていきます。
結論からいうと、デフの脱着は素人でもできますが、デフの中身のOHは専門の業者にまかせたほうがよい!ということです。2000の場合はLSDもあり、専門工具や測定器械がいるのです。素人は(私も含めて)脱着だけで充分と思います。脱着だけでも、整備工場に頼むと2万から4万ぐらいかかるようです。
それだけでも、オーナーとして節約できればいいんじゃないでしょうか。

左の写真はまず、リアを馬かけてます。1回はずすとずっとそのままの状態になりますので周りの状況等も判断してください。そして、とりあえず、タイヤホイールをはずしました。この時に、デフオイルも抜いておきましょう。
そして、次にブレーキラインをはずしていきます。
矢印の所のボルトをはずしますが絶対専用工具ではずしてください。ここをはずすとブレーキフルード液が出てきますので下にうけ皿をしておいてください。
もちろん、エンジンルーム内のフルード液リザーバタンクのキャップを開けておいてください。
ブレーキラインを外してしまうと今度はキャリパーを外します。裏側にボルトが二つありますのでそれをはずすしてそっくり引き抜いてください。車によってはピストンの固着等で硬くて引き抜けない場合もあるようです。
また、ハンドブレーキラインがデフケースに付けてありますのでそちらもはずします。各所に割ピンが付いていますが再利用はしないというのは大原則です。
左写真はハブの固定ボルト(ロータースクリュー)をショックドライバーで外しています。二箇所ありますのでなめないように気をつけます。前もって浸透液を塗っておくことを進めます。
ここをはずすとハブがフリーになりますのでサイドブレーキ用のシューを一式はずしにかかります。 
矢印の所がシューを含めてのアッセンです。
シューアッセンはバネのついたロックピンで2箇所固定してあります。ハブを回して穴位置を合わせて上からおもいっきりドライバーで押しながら90度回すとシューの固定ロックピン(ハンドブレーキシューリテーナー)がはずれます。2箇所ともはずすと左のように
サイドブレーキアッセンが覗けるような状態になりますので内側にさらに上下のシューを引っ張るバネ(ハンドブレーキリターニングスプリング)がありますのでそれをはずしてサイドブレーキライン等を分解しながら取り外してください。文章で説明すると無理がありますが外していくとわりとすんなり外せます。
矢印はすでにサイドブレーキアッセンをはずしています。
そして、下からジャッキでデフを少しもちあげます。馬はそのままです。ボディは馬で支えている状態です。
そして、リアアクスルを吊り下げていた布状の物をボルトナットをはずしておきます。ジャッキで上げているのを確認して今度はショックの上側のナット類をはずします。
トランクルームからも外せないことはないですがリアの座席を取り外してプラスチックのカバーを室内側から外して室内側からナットも外した方が面倒でも楽に作業はできます。トレーリンクアームの下になるダンパー固定ナット類もこの時に外しておいて構いません。
作業する上ではダンバー下の固定ナットだけを外しても構いません。結果的にはその方が効率的に早いようです。
プロペラシャフトからデフに繋がる所ミッドギアフランジの所の固定ボルトは、外す前にポンチで合いマークを付けておいてはずしてください。外した後はプロペラシャフト側が落ちてきますのでなにかで固定してください。リアアクスル自体はトレーリンクアームとTアーム(ソロバン玉ブッシュ)で支えてありますのでこの時点では転がりません。
左は1回サイドブレーキアッセンブリをはずした後に仮に組み立てて写真を撮りました。(黄色の丸の部分)こういう状態で装着してあります。バネを引っ掛ける向きや状態を把握して元に戻せるようにちゃんと覚えておいてください。
そして、アクスルをはずしていきます。
まず、今回陸送するために材質がやわらかいバックプレート部分は外して送ります。上の写真のハブの裏に付いている大きなカバーです。これは1回ドライブシャフトを抜かないと取れません。慎重に引き抜いてプレートをはずしまたシャフトを入れて固定ボルトで仮止めしておきます。
本来、ドライブシャフトを抜き取る時は専用の工具が要りますが私のは手で引っ張って抜けてしまいました。
そして、トレーリンクアームとの連結部のボルトを両側共引き抜きます。同時にスウェイバーも外します。
Tアームの付け根をほとんど緩めておいてジャッキをゆっくりゆっくり下ろしていきます。その時にショックとスプリングコイルが外れていきますので途中で抜き取ります。
そして、最後にソロバン玉の中を通っているボルトをはずしながらデフを揺すりながら完全に外してしまいます。
左がその状態です。下に見えるラインはブレーキフルードのパイプラインです。
これでリアアクスルを送る準備ができました。
木枠で固定するのが運送会社での原則のようです。
デフが非常に重たいので天地無用と書いて木枠で固定し周りはダンボールで巻きました。
運送費は業者によりますがだいたい4000円前後するようです。九州から岐阜県まで。
ここからは、業者にお任せしました。
岐阜の篠田レーシングというショップです。
パーツの供給は同じ岐阜県のキヨラパーツセンターから準備できました。

以降、篠田さんにお願いして各写真の説明をして頂きました。

まず、現況写真です。OH前の状態です。
左は分解したケース内部の状態です。
一つ一つパーツの状態を確認しながらの作業です。
取り外されたリングギア及びミッドギア
きれいに洗浄されたデフケース
デフギアーセットとLSDのパーツ
LSDピニオンシャフトとケース
上の写真の十字のシャフトがケースに合わさる部分の当たり面に磨耗が生じているのが写真からもわかる。
(くぼみの片側だけ段が付いている)
シャフトの磨耗を計測してみると両端部のケースに当たる部分が磨耗している。計測値5/100mm
ピニオンギアー部分も力のかかる所が磨耗している。計測値3/100mm
LSD中央、ピニオンギヤーの構造部。LSDの構造上、上記の磨耗は発生するが、今回はLSDの組み付けトルクが0(ゼロ)であり、しかもプレート総厚がケース内寸より0.3mm程マイナスしていたためトルク発生時にケースとシャフトが叩かれて編磨耗したと判断できる。
ピニオンギヤーのプリロード調整は写真中のシムの厚みを変えて行います。何回も組み付け分解を繰り返してシム厚を調整し、2つ下の写真のような専用のジグで規定値までもっていきます。大変根気のいる作業です。
上のパーツをケースに組み込みフランジを取り付け専用の工具でナットを締め付けます。
プリロード調整が完了したら、もう一度分解してシール等を組み付け、オイルを塗布して最終組付けを行います。
ピニオンシャフトのプリロード調整が完了したら、次は事前に調整してあったリングギアーをセットして、今度はバックラッシュの測定、及び調整を行います。
リアのハブのB/Gもガタがあったので右側を交換しました。
これで、一連のOHの作業が完了したところ。
塗装色がデフ本体に塗ってないのは、余計な塗料で熱の発生を誘発させないためデフケースは塗ってありません。ホーシング部分のみです。
ここから、今度はリアアクスルが送られてきてからの装着になります。
基本的に外した手順の逆で作業を行います。
横から、見たところです。ジャッキで持ち上げながら組み付けていきます。ダンパーは上で固定されています。
デフを持ち上げた時にトレーリンクアーム下のナット類もここで取り付けます。(ダンパー下のナット類)
これは、ハブシールの装着前です。
ドライブシャフトの引き抜きで傷が付いたらいけないので組つけるときに装着するようにとパーツはデフといっしょに同封してありました。
下がハブシールを装着完了後の写真です。
矢印部分。
組み付けの作業は写真を省略しました。
基本的には外した時の逆で行います。
もちろん、ブレーキフルードの液補充とエアー抜き。及びデフオイルを注入することを忘れないこと。は、いうまでもありません。

今回、作業で掛かった金額表を参考に記載します。


品   名  及び  数   量 篠田レーシング 代金 キヨラパーツセンター 代金
1 アルファロメオ デフ単体 OH 75,000
2 サイドB/G            2個 9,000
3 ピニオンB/G          フロント 4,500
4 ピニオンB/G          リア 12,000
5 アジャストシム         2個 3,800
6 オイルシール 2,900
7 ロアーガスケット 900
8 リア ハブB/G 6,800
9 リア ハブ シール       2個 3,000
10 リア ハブ交換 右側 8,000
11 LSD シム製作 2,000
小計 85,000 42,900
合計A 両方の合計 127,900
消費税 6,395
12 ペンゾイル ギヤープラス 80w-140 4リットル 6,000
13 ホーシング塗装及びLSD分解
及びギアオイルのTAX分
サービス
請求額 合計A+ギアオイル+消費税 140,295

この作業と別にデフを送るための送料(約4000円)および脱着工賃(約3万円)
及びデフ搬入時の着払い送料分等の料金(約4000円)がかかる
ことを追記しておきます。

ロードインプレッション

やはり、乗ってみて実感しました。お尻から踏ん張って押されていく感じ!がします。
トルク感を体感しています。気になる音も無くなりました。篠田レーシングさんへは
以前、ミッションのOHを頼んでいますので技術は信用していました。
今回も期待通りで大変満足しています。
オイル交換の推奨は最初を3000km、その後を15000kmがベストだそうです。
2回目からは車検時には交換と心がけておくといいと思います。

篠田レーシング様の意見
オイルの交換時期は距離数だけではなく、期間も考慮
に入れて考える方がベストです。趣味の車は、足がわりの車と違って距離数もそんな
にのびないと思います。オイルは発熱、冷却の繰り返しで、特に冬季には走行後の発
熱により膨張した空気中に含まれる水蒸気が、夜間温度が下がることにより冷やさ
れ、ENGルーム内の空気に含まれる水蒸気が水滴となってオイル中に混濁し、オイル
の劣化を早めます。ENGオイルは距離を乗らなくても、4ヶ月位に一度交換するのが
目安です。私が乗っている航空機のENGもレシプロですが、これも50時間もしくは
4ヶ月で交換と決められています。車と違って厳しい規則ですが車もこれと同じよう
な考え方が必要です。