オイルポンプを点検加工しました。

オイルポンプOH加工及び強化


オイルポンプを点検します。

エンジン内部に関わるところは、すべてワッシャ一枚まで状態をチェックします。

内部に余計なバリなど無いか?何か対策したほうがいいのか?

今度は、自分がエンジンオイルになったつもりで観察してみます。


こちらは、私の2000GTV用に買ったものを兄に譲ったのですが、私がエンジンをOHするに当たり、わずか、1000キロ程度走った状態のエンジンから外して、今回装着しようと言うものです。

ほとんど、新品のようなものですが。。。

もちろん状態を把握しないまま、エンジンに組む訳にはいきません。

よって、簡単に外せる所は、外して洗浄し、部品の消耗などもチェックします。ドライブシャフト側アッセンブリーは引き抜きませんでした。

シャフトのネジれや、ドライブスロット、ドライブピニオンなどに損傷がないか?をチェックしました。

画像のように、バラバラにしていきます。フランジへの取り付けボルトは3つ。ストレーナー側との接続は、ボルト4つで止まっています。
ストレーナーのカバーを外します。

画像のように、内側に折り曲げてありますので、少しずつ折り返し部分を立ち上げていきます。

一カ所を一気に立ち上げると、金属疲労を起こします。

ていねいに開いていきます。
こちらが、外したところです。

ストレーナーの外周と同じ高さでポンプハウジングへつながるパイプ部分が加工してありますね。

オイルポンプは洗浄が終わっています。

実際この部分は、常にオイルに満たされ、エンジン内の汚れたオイルに浸かっていますので、かなり汚れていると思います。

そういう部分は、KCクリーンハードがオススメです。
この画像は、ドライブシャフト(メインシャフト)を抜いた状態で、ドリブンギアが見えている状態です。

この部分のクリアランス規定値が2つ存在します。

クリアランス測定画像は、こちらで参照してください。

スタッドボルトのネジ山の状態、ギア上面のハウジングの平面度、ドライブギアの歯、ドリブンギアの歯の状態。

ドリブンギアは、シャフト(スピンドル)を軸にして軽く回るか?(ドリブンギアは、左回転)など、状態観察と、クリアランス計測をします。
こちらは、リリーフバルブ部分の内側です。

割ピンを引き抜いたら、リリーフバルブアッセンブリーを取り外せます。
内側にプランジャーが油膜などで吸い付いているケースがほとんどでしょう。クリーナーできれいにして、プランジャーまで取り出します。

この時、指でプランジャーを押さえながらストロークさせてみてください。スムーズに動くか?というのが重要です。

内部の状態も把握します。変な固着物は無いか?バリ等が存在していないか?内面が変摩耗していないか?等、すべて目視しましょう。

って、自分がそうしたいだけだったりして。。。(笑)
リリーフバルブアッセンブリーです。

上から、スプリングキャップ、スプリング、プランジャー(リリーフバルブ)です。

キャップにプランジャーが正常に可動できるように(オイル抜け)、キャップに2つ穴が開いていますが、割ピン装着時に穴のライン上に重ならないように注意してください。

割ピンは再使用不可です!OH後は、必ず新品を使います!
このプランジャーは、かなり大事なパーツです。

プランジャーの側面の仕上がり状態や、オイル管理不足で、リリーフ開始圧が適正に伝えきれないケースがあります。

ですから、プランジャーの表面は、メタルコンパウンドやピカール等の研磨剤でピカピカにしておきましょう!

ただし、ヤスリなどは必要ありません。必要以上に研磨しないようにしてください。
こちらが、今回オイルの油圧を上げるために、装着するパーツです。

なんて。。(笑)ただのワッシャーです。定番ですね(^^;)

1mm厚のものです。スプリングのロアシートとして使用します。

規定油圧以上の圧力が掛かった時に、このリリーフバルブ(プランジャー)部分が上がり、オイルがポンプ内路にリターンするのですが、このリリーフ開始圧を上げてやることにより、規定適正油圧が約0.3kgf/cm²程度上がることになります。(難しい計算式あります。)

それにより、クランクシャフト等の主要潤滑機関へ強めに圧送されることになり、高回転時の油膜切れを防止するための対策です。

この他、根本的な対策としては、オイルポンプ内の圧送量を多くするタイプ(GTA用等ハウジング内部容積が大きい)を装着することが妥当です。

よって、この方法自体は、正当な対策とは言えないかもしれませんが、理論を理解して作業するようにしましょう。
プランジャーの内側(ロアシート)にワッシャーを入れます。

ワッシャーが内部で動いても、スプリング接地面からズレない程度の径であることを確認してください。

また、スプリング内径と同程度の径だとスプリングの線間に挟まったりして、規定値でリリーフされないトラブルが起こり、油圧が高すぎるトラブルになりかねません。

純正じゃない作業をする上では、細心の注意が必要です。

計測編で書いていますが、スプリングの自由長だけは、基準値がマニュアルにあります。48.25mm以下で、かなり縮んでいる場合は、スプリングのみでは、パーツとして取れないと思いますので、OH時に新品に交換されるのがいいと思います。
割ピンの丁度良いサイズをまだ仕入れていませんので、仮にアッセンブリーを止めています。

もちろん、このまま使用したりはしません!!(笑)

今はすでに、割ピンを装着していますが、最後に組み付ける際は再度、バルブ内部を点検洗浄します。

純正の割ピンのように、長めのピンを用意して、きちんと割ピンをロックさせましょう!

穴位置と割ピンは、画像のように対角になるようにしてくださいね!
ポンプハウジング内部のオイル取り込み箇所のアップです。

内部の状態にバリ等無いか?チェックしました。

ず〜〜と、見ていると・・・・・・。

またまた、考えてしまいました。(笑)

ちょっとハウジングに入ってくる面が鋭角ですね。(^_^;)
こうなると、放っておけません。(笑)
面取りします。

間違って、大事なドリブンギア側のシャフト(スピンドル)を傷つけてしまってはいけませんので、ガムテープで保護しています。
矢印のように、軽く面取りしました。

う〜ん。意味ないな〜〜。(笑)

でも、私がオイルなら、こうなってる方がいいかな?っと思ってやってしまいました。
ドリブンギアのシャフトに注目してください!

シャフトとギア内部を潤滑するために、らせん状に溝が入っていますね!ドライブシャフトは、デスビ回転方向で言う右回転します。

それと、連結されているドリブンギアは、当然左回転するのです。(赤矢印方向)

ですから、左回転するドリブンギアによって、シャフト内部のオイルがきれいに回るように、左回転のらせんが切ってありますね!

ここで、注意することがあります。
ドリブンギアには、上下方向指定があるのです。

オイルが下から上に圧送されるので画像の緑矢印の部分の段差の高さが上下で違うのです。

オイルは下から上に上がりますので、段差が大きい方を下にして取り付けるようにします。
ギアは、スクリュー状ではないので、上下を間違っても組めてしまいます。気を付けましょう。

矢印の部分のクリアランスチェックをしますね。
基準値がありますので、チェックしましたが、ほとんど新品でしたので、問題ありませんでした。数値は、クリアランス測定編へ。

でも、私のエンジンに付いていた古いオイルポンプは、どちらも規定オーバーでした。摩耗するんですね〜〜(^^;)。

ドリブンギアとハウジング側面のクリアランスは、エンジン内の潤滑用オイル圧送力のために重要です。

ドリブンギア上部とハウジング上面とのクリアランスは、シャフト内の潤滑用のオイルの入りと抜けを考慮してあるために重要です。
ストレーナー内部を検討します。

バリ等ないか??不純な固着物は付いていないか?などをチェックしておきましょう。
ストレーナー内のオイルラインです。

オイルポンプは鋳造ですので、バリ等に細心の注意が必要です。

たぶん無いと思いますが、こういう箇所もすべて目視して確認しておけば、後でトラブルになったときにも、原因項目から破棄できます。

見ていなければ、「あ、どうだったかな?」となり、それだけでNGです。

エンジン内部のOHは、こういう作業の繰り返しですね。
どこで「どの時点」で妥協してしまうか?でメカニックとしての本質を問われるのだと思いますけど。。。どうでしょうか??
気になる部分を、白ペンキでマーキングしました。

ストレーナーから吸い込まれる時に抵抗になる部分を研削しようと思います。

自分がオイルになった気持ちで。。。(笑)
ストレーナー内部の吸い込み口です。

ストレーナー外部の円周の高さと同じ高さで成型してあります。

ですから、高さは、重要であると考えます。

よって、高さを変えずに「R加工」することで、オイルの流れをよりスムーズにしようと考えました。
ストレーナー内部の外周の内側のみ(緑矢印部分)を「R加工」することにより、オイルパンから吸い上げるストレーナーの際のオイルを吸い取り易くすることが目的です。

外側は(ストレーナーカバー装着面)、「G」が掛かった時に、オイル偏りによるエア混入を防ぐ意味で、本来の純正の設置ラインを変更しないために、研削していません。そこまで考えて、高さは設計されていると信じましょう。(笑)

カバーが外れ易くなる可能性もありますしね。

今回、バッフルプレート等は製作しません。純正のままで対策しています。
高さを変えずに、「R加工」しています。

ストレーナー外周は、内側のみ「R加工」しています。

荒削りが終わったところです。
その後、ストレーナー内部を600番までペーパー研磨しています。

オイルがすばやく吸い込まれていくイメージを描いています(^_^;)
こんな感じでストレーナー内部の研磨は終了しました。

ストレーナーカバー(網状部分)は、エンジンに装着する前に付ける予定です。(最終時点でのゴミの確認を目視するため)

ハウジング部分の連結ボルト4本もエンジンに装着する前に再度、内部の研磨クズや、ゴミなどが無いか?を目視したあとで完全に組み立てる予定です。

オイルエレメント装着箇所の出口も「R加工」しています。

さて、意味のある加工なんでしょうか?(笑)



ハウジング部分の締め付けボルトの規定トルクは、マニュアルにはありません。

分解する前の、ドライブシャフト側(デスビと繋がるシャフト)を手で回した感触を覚えておきましょう。

ハウジング部の締め付けは、ある程度経験値でトルクを掛けることになりますが、締め付け後に必ず、シャフトを右回転させてギアの周り具合の感触を締め付け前と後で比較してください。

締め付け後に、「回り方が堅くなった」と感じる場合は、クリアランス測定が規定値に収まっていない可能性があります。

たまに、オイルポンプのトラブルの一つに、オイルポンプ内をオイル切れのままで組み付け、エンジンを載せてしまい、始動時に油圧が掛からないケースなどのエラーがあったりします。この時点で気づけば、再度エンジンを降ろし、大変な時間と労力のロスになります。ジュリアエンジンがどうかは、別として。。。

そのような、エラーを防ぐためにも取り付けフランジ(3点ボルト締め)側の上部からオイルを入れて右回転し、ハウジング内をオイルで満たしておく。エンジン側への組み付けの際は、フロントカバー側のOリングを交換して装着していることも目視しておく!

それでも、エンジンを組む段階でオイルは、こぼれていますが、ギア部分は油膜でシールされているので問題ないと思います。それよりも新品のオイルエレメント内にいっぱいにオイルを満たして装着し、そこから漏れたオイルがオイルポンプハウジング側まで落ちるので問題ありません。オイルポンプのドライブシャフトを左回転させると、ストレーナー側へ漏れてしまいますので、絶対左回転はさせないでください。

OH後に初めてエンジンを掛ける場合は、オイルと水を入れ、プラグを外して点火系を外して、クランキングして(アクセルペダルは決して踏まない)、オイルポンプと、ウォーターポンプで圧送(燃料ラインは、止めておいたほうが無難)して、油圧が上がるのを確認して点火系を繋げて、燃料ラインを開け、キャブの儀式をしてONします。(その後、クーラント液に入れ替え、エア抜き、点火時期調整等)

それすら知らない方は、油圧も上がらないうちに点火系を付けたままクランキングして、そのまま点火=アイドリング。場合によってはアクセル3000回転程度まであおらせる(最悪)するとオイルポンプ内で大変なことが起こっているとも知らずに、メタル焼き付き等でその後に、油圧が上がって安定しても、しばらく走っているうちに、なんか調子がおかしいな。等、初期時点でメタルを傷つけている可能性があります。

そういうことを想定しないで、OH作業をしてしまうのも、素人であるが故であり。。。(-_-)(>_<)(*_*)