バラバラにします。

エンジン分解と現状把握 2


ひとつ、ひとつパーツを確認しながら、慎重に状態を把握していきます。

再利用できるのか?できないのか?

耐久性に問題はないか?

見えなかったところが、すべて明らかになってきます。   ドキドキ。。。。。

ヘッドを降ろした後で、タイミングテンショナーを一式外します。構造は左の画像の通りです。

タイミングチェーンの固定ボルトを緩めた後で、チェーンを外す際、落としてしまう可能性があるのが、左のパーツです。ボルトの先の出っ張りに、はめ込みテンショナーの筒状の一部でスライドする構造です。

取り外した後も、紛失に注意したいパーツの一つです。

テンショナースプリングの自由長を測定しています。
測定データを公開する際に、いっしょに表示しますね。
いよいよ、ヘッドに装着されているパーツをバラバラにします。

下のパーツ入れのように、INTとEXHを各気筒番号事に整理するようにしましょう。

再利用される場合などは、特に重要になります。

ヘッドガスケット面は、傷を付けないように、画像のように、板の上に載せたりして、直接硬い場所に、ヘッド面が当たらないように気を付けます。
ご存じの方もたくさんいると思いますが、カムキャップのセット番号打刻です。

ジュリアの場合は、エキゾースト1番から、4番に向けてインテーク4番から1番に向けて通し番号で、設置する箇所、方向が決まっています。

キャップの内径データおよび、カムの外径や、カムのエンドプレーもデータがあります。
カムキャップを少しづつ、均等に緩めていきます。

一カ所を一気に緩めることは、しないでください。

1番上死点位置にあるカムは、4番側にテンションが掛かっていますので、取り付け時は、4番側が締めにくいケースがあります。

もちろん、締め付けトルクは管理される場所になります。
とりあえず、カムが外れた状態です。

どっちが、INTのカムで、どっちが、EXHのカムかわかるようにマーキングして管理しておきましょう。

打刻番号がいっしょのケースがほとんどのため、後で分からなくなるケースがあります。

カムプロフィール測定などを行っていれば、すぐ分かりますけどね。

リフターが見えてきましたね。リフター上部の状態をよく確認します。

タペットククリアランスが大きい場合や、アイドリング走行が多い運転の場合は、リフターの当たり面が摩耗しているケースがあります。

リフターの外径とリフターが収まるヘッド側とのクリアランスも測定される箇所です。
リフターを取り外します。

油膜により、取り外しにくいと思います。

バルブ摺り合わせ用に(たこ棒)を持っている方は、吸い付けて取り外すと、簡単ですね。

そういうものが、無い場合は、吸盤になるもので代用するか、
プライヤーで挟んで引き抜くか。(その場合は、当たり面に布を当てて傷が付かないようにしましょう。)
ゆっくり、引き抜いてください。

画像のように、タペット裏側にインナーシムが付着しているケースが出てきます。

リフター取り外しの際に、このことに気づかずに、「シムが付いていない」とか、知らないうちに確認する前にどこかに落としてしまっている。というエラーを起こさないためにも注意が必要ですね。
リフターとシムが外されました。

状態を確認しながら、パーツは、それぞれわかるように保管しておきましょう。
いよいよ、スプリングコンプレッサーの登場です。

画像の物は、DOHC対応品です。

ジュリアにも、もちろん対応します。

アスト○で購入できます。

これも自作される方はいます。

費用対効果と、時間を考慮して、選びましょう。
下側(燃焼室)から、バルブに当てます。

表側は、画像のように、バルブリテーナーにセットして、スプリングを縮めている内に、2分割のコッターをピンセットや、マグネットで取り外します。

スプリングコンプレッサーも、市販のものでいろんな種類がありますので、一番いいと思う物を選べばよいと思います。
こちらは、Sugaiさんの自作ツールです。

カムキャップのスタッドで固定して、テコの原理でスプリングを押して取り外すようにされています。

他にも、反対側のカムを鉄パイプに変更してキャップで固定し、、テコの原理を利用して外される方もいます。

いろいろ、オーナーが自作されたらいいと思います。

私は、すんなり買ってしまいましたけど。(笑)
コッター、リテーナーとバルブスプリング2つが外れると、ガイドに装着してある、バルブステムシールを外します。

ここも、専用のツールが売ってありますが、私は自作しました。

ペンチ系の物であれば、先端を削るだけで簡単に自作できますね。

ステムシールの構造がわかっていれば、形状も簡単に自作出来ますので、作ってみましょう。

画像のように、挟んで引き抜きます。
ところが・・・・。

私のバルブステムシール。

ステムシールを見たことある人は、この画像を見ただけで、「何これ!」って感じでしょうね。

私のは、ジュリアの純正ではなく、社外品(全然違うもの)が付いていました。

ステムシールの外側がアルミで保護されて、ゴムもインテーク、エキゾーストどちらも耐熱仕様品が付いていたのです。

そのため、通常は簡単に引き抜きができる作業がバルブガイドを曲げてしまいそうな程、力を入れないと外れないような、しっかりした物が入っていました。

ぜひ、オイル下がりの対策として同じものを購入して設置したいと思っています。でも、どこの製品で、どのクルマ用なのかわかりません。

このおかげで、私のは「白煙を吹かなかったのでしょうね。」

分かる方は、BBSで教えてください。
こちらは、Sugaiさんの自作ツールです。

このように、先端を加工すれば専用ツールになりますね。
ステムシールが外れたら、シム(ワッシャ)とスプリングシートを取り外します。

こちらも、油膜でシートが、付着していますので、油分を取り除くか、もしくは、マグネットで吸い付けるか、プライヤーなどの広がる方向を利用するか(スナップリングプライヤーなど)して取り外しましょう。
スプリングシートにワッシャーが、油膜で付着している場合は、磁石などで吸い付けて取り外してもいいと思います。

ジュリアの場合は、純正で1枚ワッシャーが入っています。
スプリングが2重になっています。

通常線形は、外と中のスプリングでは、逆向きの巻き方向にセットするのが原則です。これは、上下を間違っても必ず、巻き方向が逆になりますけどね。

しかも、スプリングの線間の巻き幅が狭い方を下に向けてセットしないといけないのですが、私の2000は、インテーク側1カ所とエキゾースト側1カ所だけが、正しく組んであるだけで残りの箇所は、セットが逆になっていました。

そこまで、知らない方が組んであったようですね。。。

バルブサージングを防止する効果があります。

日本車では、線間が狭い方を上で指定しているメーカーもありますね。
スプリングの自由長を計測しています。

データは、次回公開していきます。

どっちにしても、OH後は、強化スプリングを入れる予定です。

バルブジャンプや、バウンスを減らすためです。
すべての、バルブ一式のパーツを気筒事に整理しています。

リフターと、ワッシャーとスプリングシート以外は、すべて新品に交換する予定です。
バルブが外れて、ポートがすべて観察できるようになりました。

エキゾースト側は、真っ黒でよくわかりません。

インテーク側だけ観察します。
いけませんよね〜〜。

大事なスロート部分が荒く、超硬バーのようなもので削ってあります。

しかも、計測した雰囲気はないので、バルブシートの面に合わせて削ったという感じですね。

バルブ傘径との関係を把握して拡大したようには見えないし。

ガイドを付けたまま、拡大してあるので、ガイドの付け根に大きな切り裂きの段差が出来ていますね。

混合気の剥離を助長したり、流体が乱れそうだし。

とりあえず、ガイドを抜いた後で、ポート計測しますので、その時にはっきりしたことがわかると思います。
これは、4番側の燃焼室です。

黄色○囲みをみてください。

以前、燃焼室にキャブの取り付けナットがキャブから混入して、燃焼室まで入って来て、バルブとピストンで餅つき大会になりました。

その時、結果的には、バルブが曲がりバルブを交換したのですが、燃焼室はそのままでした。

その時に燃焼室側に大きな傷跡ができたままです。

当時は、これでもいいかと思っていましたが、今は納得できません。

ヘッドを変えたくはないのですが、とりあえず燃焼室を測定して比較したいと思っています。

あるいは、肉盛りしないといけないか。。。

ジュリアの場合は、ヘッド側にスキッシュエリアが無いので、きれいに傷を成らしたら行けそうな気もしますけど。。。
ブロック側を外していきます。

その前に、エンジンスタンドでエンジンを180度返すので、ライナーが落下しないように、止めるツールを作成します。

と言っても、たいしたことはないですけどね。

建材のアンカーボルト用のワッシャが2枚と、外径16mmのパイプを115mmでカットしたものを2つ用意しただけです。
1番と2番の間に1セット、3番と4番の間に1セットだけ設置しました。

落下を防止するだけですので、こんなもので充分です。

気を付けるのは、左上の拡大画像のように、セットする際
ピストンを取り外す際に干渉しないようにセットすることぐらいですね。

パイプの上にワッシャーを一枚入れて、ヘッド固定ナットで締めておきます。(軽く程度で構いません。)

実は、これやらなくてもよかったんですけどね。(笑)
私のは、硬くてライナーは落ちてきませんでした。

割合としては、50対50ぐらいで硬くなって落下しないケースがあるようです。
オイルパンを固定している、ボルトナットを外していきます。

上部のメインと下部のフィン付きのカバープレートから構成されていますが、上部から一体で外します。

もちろん、カバープレートからでも構いませんけどね。
ひっくり返して、全部取り外します。

こういう作業の時は、本当にエンジンスタンドは楽ですね。

ボルトが外れたら、軽くプラスチックハンマー等でショックを与えながら、ガスケットから分離させます。
外れると、初めてクランクシャフトがお目見えです。

オイル管理があまり良くないですね。(反省)

自分のエンジンのクランク側を見たのは、私が2000を購入して初めてです。

自分のエンジンだと、なんとなく緊張しますね。
オイルポンプの固定ナット3カ所を取り外します。

このポンプは、再利用しません。新品に交換します。
たぶん、ガタもありますしね。

画像は、ありませんが、オイルパンの内側は、オイルの偏りを防ぐ為に、迷路のようになっています。異物をサルベージしようと思いましたが、なにも出てきませんでした。

これは、奇跡かも。

そのかわり、金属の粉がヘドロ状になって迷路の隅々に固着していたのは、確認しています。

ストレーナーの先にも、破片などは、吸い付いていませんでした。
オイルポンプを取り外しました。

続いて、フロントカバーを外していきます。

小さいナットで数カ所固定されていますので、

取り忘れが無いように、きちんと確認しましょう。
クランクシャフトから、引き抜かれた後の、フロントカバー側のフロントシールです。

組み付けの際は、取り付け方向を間違えないようにしましょう。
フロントカバーを外すと、ロアスプロケットアンセンブリーが見えます。

組み付けの際、オイルポンプギア手前のワッシャを入れるのを忘れないようにしましょう。

ロアチェーンもOHの時はタイミングチェーンといっしょに交換したいパーツですね。

その他、各ギアの損傷がないか、チェックします。

ロアチェーンは、継ぎ目はありません。うまく傾ければ外れます。
フロントカバーを取り外して、ブロック先端を横から見た所です。
洗浄などで、スタッドボルトを引き抜く場合は、場所によって、スタッドの長さが違いますので、注意が必要です。
とりあえず、クランクシャフトを回して見ましょう。

クランクシャフトにプーリーを差し込み、手で回してみます。

ピストンとクランク単体ですので、手で回せるくらいの負荷でないとおかしいと思います。

クランクを回すと、画像のように、コンロッドが確認できます。

排気側に、すべてコンロッドキャップとコンロッド側どっちにも打刻が入っています。きちんと並んでいるのを確認しましょう。

メインベアリングキャップにも、1,2,3,4と打刻が打ってあります。それぐらいは、すぐに目視できますので確認しておきましょう。

万が一、並んで打刻が無い場合は、キャップ側が逆のケースが考えられます。これは、大変なエラーです。

コンロッド側は、オフセットしてある為、間違って装着できないので間違えることはないでしょう。


クランクシャフトと、ピストン、コンロッド以外は、これまでの行程で取り外すことができます。

次回は、クランクシャフトとピストン、コンロッド取り外しと、

クリアランス測定を報告します。

クリアランス測定もファイルを2分割しないと無理そうです。