よっこらしょっと!

エンジン分解と現状把握 1

やっと、カム測定も終わりましたので、エンジンを分解していきましょう。

ここでは、今エンジンがどういう状態にあり、損傷、亀裂、腐食、損失など、部品交換の有無を

目的として、現状を確認しながら作業を進めていきます。

まず、ヘッドを外していきます。

あとあと、フライホイールを外していきますので、エンジンスタンドを外して作業できるように、エンジンの下に固定台を設置しました。

こういうときに、片側のエンジンマウントにステイを作り、エンジンスタンドを設置できれば、フライホイールを外すときもそのままで作業できるのでしょうけど、5cm間隔の正三角形のスタッドボルト箇所で片側からエンジンの重量を保持するのは信用できません。

ブロック単体で、クランクシャフトも外しているなら別ですけどね。
ヘッドを外すには、まずタイミングチェーンから外します。

画像のように、1番圧縮上死点にカム山が来るようにしたときに、チェーンの継ぎ目が画像の位置にくるように、クランクプーリーを回していきます。

一回回して来なくても、何回か回していると、ちゃんと一致する位置にきます。

画像は、わかりやすいように、継ぎ目を白マーカーで塗っています。
1番上死点に合わせることは、何をするにしても基本になります。

クセ付けておく、ぐらいでも過言ではありません。

次にテンショナー固定ボルトを緩めます。
緩めた後で、テンショナーを矢印の方向へ、テコの原理で力で押しやります。

すると、チェーンのテンションがフリーになります。

その状態でまた、固定ボルトを締めます。

この締め付けを絶対に忘れないようにしましょう。
フックを外していきます。

フックの向きには、決まりがあります。チェーンが右回りしますのでテンションが掛かる側から外れないように向きになりるように考えてあります。

プライヤーなどでフックをスライドさせると外れます。

この時の作業は、慎重に行ってください。

フックをエンジンフロントカバー下に落としてしまうと、マグネットツールで何時間も掛かって探すことになります。それでも分からない場合は、エンジンをバラすことにもなります。

ですから、通常この作業の時は、下にタオルなどを引いて落下を防止します。
フックをスライドして外すと、画像の方向に1ブロックを引き抜けるようになります。その際も注意があります。

チェーン継ぎ目を外した瞬間に左右にチェーンを落としてしまう可能性があります。それを無くすために、両側を針金などでインマニやエキマニのスタッドボルト等に巻き付けて落下を防止しておきます。

エンジンを降ろす方は、こういうのは説明しなくても常識ですが、初めて知る方のための知識としては、覚えておきましょう。

チェーンのみの交換なら、外れた端と、新品のチェーンの端を連結させて、右回りで送っていけば、一周後には、新品のチェーンに交換できますよね。

その後、連結を新品で組み付ければ完成です。

私は、エンジンをバラすので取り外します。
これは、継ぎ目のブロックの拡大画像です。

外したあとは、必ずこのようにフックを組み付けて保管しましょう。

私は、チェーンが延びていましたので再利用しませんけど、バルタイ調整時などは、何度も外すことになります。

もちろん、新品でも慣らしが終わるとチェーンはすでに延びますけどね。通常、OH事に交換するようです。

新品に交換後は、紛失に気を付けましょう。

フックを付けて保管する習慣をつけることもメカニックとしては、当たり前かな。。。
チェーンを外したあとは、いよいよヘッドボルトです。

同じテンションで45度くらいの緩める角度で何回かに分けて均等に緩めていきます。

一カ所づつ外したりしないように。
緩めるとき、締めるときは、中心側から対角線で外側に向かっていくこと。

少しづつ均等な角度で緩めていくこと。

締める時は、トルク管理指定数値までを3段階に分けて締め付けるようにすればいいですね。
わたしは、同じ箇所に同じボルトを付けたいので、マーキングしています。

スタッドボルトも、タップダイスで切り直し、ボルトも磨きます。

特に、ネジ山が悪い箇所はありませんでした。

これは、そんなにこだわらなくてもいいかと。。
ヘッドボルトが外れると、あとは、2本です。

フロント側角に下から固定ボルトがあります。

矢印の付近にありますので、忘れてヘッドを叩いて外し始めないように気を付けましょう。
私のヘッドは、たまたまですが、画像のように軽く均等にプラスチックハンマーで叩いただけで、浮き上がってきました。

ヘッドを叩くことは、良いことではありません。もちろん、割れたりしたら大変なことになります。気を付けましょう。

間違っても、ガスケット付近にドライバーなどを挟みこんで、こじ開けるようなことはしないでください。
ここで、Sugaiさんのスペシャルツールを紹介します。

ヘッドボルトの4カ所を支点としますので、適当な大きさの分厚い鉄板を用意します。

右の物は、プラグを途中で切断して、ボルトを溶接してあります。
使用例です。

ヘッドボルトをある程度緩めたあと、プラグ穴にツールを差し込みます。

ヘッドボルト4点の上に載せた鉄板の中央からボルトを通して、上からナットで固定してあります。

そして、4カ所のボルトを均等に少しづつ、スパナ等で回していくと、ヘッドが浮き上がってきます。

この作業を1番プラグ側と、4番プラグ側で行えば、5mmぐらい両側が浮き上がります。画像は、設置風景だけを参考にしてるため、チェーンなどは付いたままです。

そこまでくればあとは↓
ゆっくり、平行に真上に背筋力を使って、「ズポッ」とスタッドから抜き取りましょう。

足場が悪くないように、気を付けながら移動させます。

ヘッド持ったことある人は知っていますが、意外と重いんです。
取り外したヘッドです。やっとここまで来たなって感じです。

ヘッドの下、ガスケット面は、平面平行で傷は御法度です。
直接硬いものの上に置かないようにしましょう。

手前側の板が斜めになっているのは、タイミングテンショナーが付いたままのため、ギアが、ヘッドガスケット面よりも下のため、ギアに直接当たらないようにしています。

手前のメクラ蓋が2000エンジンのエアコン取り付けステイを兼用しているため、ボルトが突き出ています。

これは、格好悪いので別のものと取り替える予定です。
タイミングテンショナーを外すと、このように3本線が付いていました。

これは、チェーンのタルミが発生した際、高回転で回し、エンジンブレーキ等で、負荷が掛かった時に、タルミの分だけ遠心力が加わり、ヘッドを削ってしまったんですね。

ガ〜ン。

きれいに修正したいと思います。幸いフロントケースだから特に影響は出ないところなのでよかったですけど。
ブロック側を上から見たところです。実に4年ぶりに見るピストンです。

その時は、ピストンの頭は綺麗にしてあったのですが、これだけカーボンが付着していました。カーボン山脈が出来ています。(笑)

そして、BBSでも書き込みした問題の箇所です。

排気側はガスケットとヘッドの水穴が合っていますよね。

でも、上側の吸気側は、拡大画像のように半分ズレているんです。

ガスケットを取り外して、ヘッド燃焼室側に付けてみると、吸気側も排気側も、水穴は合うんです。

ってことは、ブロックとヘッドの接合部の構造上、インテーク側の水道を狭くしていることになります。

ここで、急速に水流を速くするためか・・・?

精密に加工するヘッド面に限って、加工精度ミスはありえないし。

インテーク側は、流量より、水圧を高くする意図的な設計なのでは、と想像していますけど。。。。ちがうかな?

水穴加工の時に、いろいろ検討してみたいと思います。
クラッチ一式とフライホイールを外します。
後で、同じ位置に組み付けられるように、カバーフランジとフライホイールに合いマークをつけましょう。

エンジンスタンドから分離して、ビット(ヘックス)ソケットで6箇所止まっていますので、均等に対角線で緩めていきます。

再度、装着時には、センター出しのツールが必要になります。
クラッチ一式が外れたところです。装着方向などを間違わないように、組み付ける際は気を付けましょう。

オイルなどが付着していないか?大きな傷がないか?
スプリングがヘタっていないか?など、状態を確認します。
接地面の摩耗具合いをチェックします。

まだ、使えます。
フライホイールを外す前に、クランクプーリーを外します。

側面から見たら大きな穴が2つ。
これは、バランス取りを行った後でしょうね。
でも、すごく重そうですよね。
2段用のプーリーは、レースでは良いことないので、1段ものに変更します。クーラー用のベルト装着のため2段になっていました。当時の伊藤忠ものだったので、この仕様で装着されていたのでしょうね。

プーリーのボルトは、通常は、36mmか38mmで緩めます。

私は、フライホイールを固定するツールをアスト○で購入して使用してみましたが・・・。一発でツールのツメが曲がってしまったので返品しました。まったく使えません。(笑)

このツールを使用して紹介したかったのですが、不良品でしたので、画像は掲載しません。

結局、エアーインパクトで一発でした。(笑)
エアーインパクトなら、フライホイールを固定しなくてもいいです。
見事に外れました。これが外れないで困る方もたくさんいますよね。

エアーコンプレッサー様々です。
ちなみに、装着されていた、クランクプーリーを計ってみました。
重量は、1.8kgでした。重いですね〜。
こちらが、新しく装着予定の1段プーリーです。なんと、1.0kgです。約2分の1の重さです。ってことは、今までかなりのロスだったんでしょうね〜〜。

シャフトの径もちゃんと合います。
ってことで、クランクプーリーを外すために、おあずけだった、フライホイールを外します。

一応、この接続箇所も合いマークを付けました。

対角で外していきます。
画像では、ソケットで外していますが、実際は、エアーインパクトで緩めていきました。

結構、硬く締まっています。2000は、規定締め付けボルトは、11〜13kg・mです。

ここでも、エアーインパクトが無かったら・・・と思うと。。。
感謝感謝です。

フライホイールを外すと、すぐ奥のエンドプレート(スターターモーターが取り付く金属プレート)も外れます。
取り外したフライホイールを計ってみました。

クロモリのフライホイールです。チョイ軽量のフライホイールですね。

このおかげで、軽く回っていたんだろ〜な〜。

感謝、感謝。

ギアの亀裂等は、ありませんでした。

まだまだ、活躍してくれそうです。
フライホイールは、2000は6本ですが、前期型は8本です。2000は、ハーフリングがありませんが、前期型は少しコツがいります。

一本置きに外していき、取り外した穴にスタッドをねじ込んで、残りの4本を外します。

スタッドボルトを通して引き抜くようにフライホイールを外します。なぜかというと、クランクシャフト側のハーフリングが落ちないようにするためです。

わかりにくいですが、フライホイール側とクランクシャフト側で合いマークをペンキで付けています。二時の方向の穴に白ペンキが付いていますね。

ワッシャーも外していきます。

ここは、液漏れを防ぐため、9本のボルトで固定されていますが、ガスケットは再利用できません。

ネジが多い所は、電動ツールでサクサク外しましょう。

電動ツールを使う場合は、初めと終わりは、ちゃんと手レンチで感覚をチェックしましょう。
黄色囲み部分で、この空間は、つながります。

真ん中のオレンジ囲みは、ヘッドガスケットによりメクラ蓋されています。

このあたりの仕組みも、設計加工上の理由がありそうですね。
ここまで、外れたら今度は、ブロックをひっくり返して作業していくので、再度エンジンスタンドに装着します。

今度は、フライホイールがないので、間隔を狭めて設置しています。

しかし、取り付けボルトの裏でオフセットしたロングナットが長すぎて、回転させるときに、スタンドの支柱に当たってしまい、180度回転できなかった。というエラーはお許しください。(笑)
フロント側ウォーターポンプを外します。

ここは、小さいナットで何カ所も取り付けてありますので、取り外し忘れが無いことを確認して、プラスチックハンマーで軽く叩いて取り外しましょう。

フロントカバー側は、アルミ製ですので、長年交換していないと、ショックを与え過ぎると、ウォーターポンプが割れます。

実際、目の当たりにしました。(笑)私のエンジンではないですよ。

ですから、慎重に慎重にショックを与えながら外していきましょう。
ガ〜〜〜ン。です。

中央のインペラーが腐食しまくってます。

クーラントに浸かっていても、これだけ錆びるのですね。

貴方のウォーターポンプは大丈夫ですか?

外す前から、ここは、新品に交換するつもりでしたが、やっぱり交換ですね。

きれいにリビルトできるか、がんばってみます。
私のには、付けませんけどね。(笑)
腐食のため、ブロック側を削っていました。

これがかなりショックです。見た目はすごいですけど実際は、ほんの少し削れているぐらいので、ブロック洗浄後に面出ししたいと思います。

あまりにも、画像が多いので、エンジン分解は、2項目に分けることにしました。

あ〜〜、HPアップ容量が足らないかも。。。