ここまで、やっとく?

カムプロフィール測定及び図面作成考察


以前から、カムの型番で純正のカムが入っているのだけは、知っていました。

今回、ヘッドを降ろす前にどうしてもやっておきたいこと。それが、カムを見極めること。

新品のデータ通りなのか??どれくらい摩耗しているのか?ネジレはあるのか?

まだ、使えるのか。。。「カムは消耗品」というものの、予算的には計算に入れていないので

まだ、使えることを願うばかりですが・・・。計ってみないとわかりません。

強化スプリングや、ハイカムだったりすると急激に消耗していき、バルタイも狂ってくるのでしょうけど、

何はともあれ測定は始まるのでした。。。

まずは、カム山からうまく逃がして、リフターに当てないといけないので、測定ツールを作ります。

個人でいろんな材料や方法を使い、作成されるものです。硬くて加工しやすいものであれば問題ないと思います。

私は、左画像のツブシ釘を使うことにしました。
材質は、軟質鋼材で、パイは13mm。長さ65mmのものを使用しました。
左が、ダイヤルゲージです。測定範囲が20mmあるものです。
なぜ、20mmかというと、別に10mmのものでもいいのですが、カムのリフト量が10mmを超えるからです。20mm測定のものであれば、干渉チェックだけ行えば、途中でセットをやり直すことなく、測定できるからです。

もちろん、30mmあれば、全然問題ありませんが、コスト面を考えると20mmがベストのような気がします。20mm測定できることによる長所として、燃焼室容積測定の際のピストンクラウン部の測定の際も重宝します。実際にやれば、意味がわからない方でも納得できると思います。

その右が、カムよけのカーブを針金で検討したものです。柔いので形状をトレースするのに使えます。10mmリフトするってことは、曲がっている所が、20mmぐらい要ります。この針金を参考にして、一番右の測定ツールを作成しました。

硬いので曲げるのは大変ですが、ある程度強度が無いと測定中に曲がるようでは意味が無いので同じ形状になるように頑張りましょう。そして、一番上には、小さい穴を開けてダイヤルゲージの測定針にセットできるようにします。
なぜ、ツブシ釘がいいかというと、穴を開ける時にわざわざツブシてから、穴を開ける必要がないからです。

こういうものがある。と知っていると、いろんなヒントが出てきますので、お近くのホームセンターをくまなく把握しておくこともツールを作るのに、役に立つと思います。
これが、測定ツールを装着した状態です。

このようにセットしながら、形状を観察していきます。

測定針の延長線上にツールの先が来るように微調整を行っていきます。

左の画像は、微調整前の写真です。
これが、調整後です。
ダイヤルゲージの測定針の延長線上に先が来てるのが分かりますね。

縦横方向で曲がったりしていないか確認しましょう。
こうしないと、力がダイヤルゲージに的確に伝わらずに正確に測定できない要因を作ってしまうからです。

針先がポイントです。

尖っているけど、尖っていない状態にします。

尖り過ぎると、リフターとの接触面を傷つけてしまうかもしれません。それでいて、点で接点できるくらいの丸みを作ります。

私こういう作業大好きなんです。(笑)
クランクプーリー側をセットします。

ここに、全円分度器をセットします。プーリー径は125mmありますので、それより大きければ構いません。中心のプーリーナットを回して計測しますので、全円分度器の中心を50mm〜80mmくらい穴を開けておきます。

ナット径が36mmか38mmですので、50mmぐらい無いと、回すソケットの外側に当たってしまいます。

バルタイ調整では、マグネット式にしていますが、カムプロフィール測定では、何度も回しますので、間違って取れないように、両面テープで貼り付けました。ちょっとソケットが当たったくらいでは動きませんね。

1番圧縮上死点を0度として、画像上の針金で作った針に合わせて接着します。
一カ所一カ所測定に入る直前に隙間をシックネスゲージで厳密に慎重に測定します。カムの山は確実に正反対になるようにしてから測定します。この時、同時に温度計の温度を確認して、測定カム山ごとに、気温も記入しておきましょう。

このデータが後で貴重な資料になっていきます。
インテーク側のカムを測定している画像です。

測定針は、カムの下側からでも上側からでも構いません。

やりやすい方で行いましょう。セット後は必ず、カムを一周させて、ゲージの針が変に飛んだような動きになったりしないか、最大リフト時に、ダイヤルゲージの針がスムーズな動きになっているか。ダイヤルゲージ測定範囲内に収まる位置でセットされているか?カムに当たっていないか。リフターに対して直線的にセットできているか?垂直であるか。など細心の注意が必要です。

慣れるまでは、大変です。頭で理解しても実際は思うようにはいきません。

私は、何回測定したかな。え〜と、一カ所約50回で、カム山が8カ所で、温度差で再度チェック測定したので、50×8を2回で800回、計測しました。これくらいやっていれば、イヤでも慣れます。(笑)

V型12気筒48バルブじゃなくてよかった。(笑)
エキゾースト側も同様に測定します。測定順番は、極端な話どこからでもいいと思います。

ただし、温度差をなるべく無くしたいので、同気筒のINTとEXHを続けて行ったほうがいいと感じます。

気温差で影響あるかどうか、計ってみましたが、影響ありました。気温3度と20度では、クリアランスも違います。気温2,3度程度は影響ありません。

基本的に、冷間測定とは、気温20度を対象としますのでクリアランス測定時は、それを頭に入れてるのと、何も考えないで測定しているのでは、結果に影響すると信じます。

もちろん、それだけカムも回しますし、ピストンも動いていますので、何度もオイルを垂らしながらやったのは、言うまでもありません。いや、言っておかないと!カムの上からと、プラグ穴からオイルを垂らしました。
こちらは、Sugaiさんが作成した、マグネットツールです。

カムキャップを3点で支持して、自由にマグネットを移動させることができますね。

これだと、4カ所の測定を一回のセットで、完了できるので時間の短縮にもなりますね。

マグネットベースにしても、個人の想像力で発揮されるところです。

それぞれで、自作ツールを作ることも、プライベーターの面白い所だと思います。
同じツールで、1番上死点も測定できますね。
話は戻って。

普通だったら、これくらいしかやらないのかな。。。

カムの作用しない場所の直径とカムの最大作用する箇所を数値で測定して、差し引きをして、プロフィールのリフト量との差を比べて、クリアランス量を計測すると、どれくらい摩耗しているかの目安になりますよね。
でも、これって、本当に参考にしかなりません。
100分台で測定しましたが、誤差もかなりでます。
一カ所で10回以上測定して平均を出して、差を出しましたが、その数値と、実際、カムをダイヤルゲージで測定したデータは全然違います。クリアランスを含むからです。

よって、この数値を信じてきって、バルタイの調整などしないように。っていうか、意味がわからないと、それ以前にバルタイは調整できませんね。(笑)

カムリフト簡易測定データ比較    
気温17.5度  ※熱膨張による、クリアランスの増加を含まず。(0.05)

実測直径 実測カム山長 計算リフト量 実測クリアランス 推奨クリアランス 実測リフト量 推奨時の
クリアランス
インテーク 1番 27.62 37.21 9.59 0.37 0.475 9.22 9.115
2番 27.60 37.21 9.61 0.46 0.475 9.15 9.135
3番 27.62 37.21 9.59 0.40 0.475 9.19 9.115
4番 27.62 37.21 9.59 0.43 0.475 9.16 9.115
実測直径 実測カム山長 計算リフト量 実測クリアランス 推奨クリアランス 実測リフト量 推奨時の
クリアランス
エキゾースト 1番 27.53 37.21 9.68 0.50 0.525 9.18 9.155
2番 27.51 37.19 9.68 0.50 0.525 9.18 9.155
3番 27.47 37.16 9.69 0.53 0.525 9.16 9.165
4番 27.53 37.21 9.68 0.54 0.525 9.14 9.155

分かりやすく図にしてみました。これを理解できれば、バルタイは
簡単な作業になります。


※プロフィール測定手順

cam-sokutei.pdf へのリンク    リーダーを持っていない方はこちらから。

カムプロフィールを測定されるなら、上のPDFファイルをプリントしてご利用ください。

私は、バルブのリフトを基準として、測定していきました。

全円分度器は、1番圧縮上死点で0度になっています。
クランクを右周りに動かしていきダイヤルゲージが作用し始める位置を何度かチェックして、ダイヤルゲージの「0」をセットします。そこから、はじめは、0.25mmリフト(以降追加距離で表現)0.5mmリフト、その後1mmリフト1.5mmリフトと進みます。そのカムがおおよそ、10mmリフトするとわかっているなら、(クリアランスも考慮して)9mmリフトぐらいから、9.25mm、9.5mm、9.6mm、9.7mm、9.8mm、9.9mm、10.0mm、最大リフトと順次リフトに合わせてクランク角度をメモしていきます。始めに、一回転して、何度で最大リフトになるかあらかじめ見ておくと、要らないデータを増やす必要はありませんね・・・。(やってみないと、意味がわからない書き方ですみません。)

最大リフトの上がり始めと降り始めから、リフト量を同じ位置で角度は、右回りのままメモしていきます。すると、約50回ぐらい測定していることになりますね。初めて、ダイヤルゲージをセットして一回終わるまで1時間くらい掛かるかも。

慣れれば、すばやく終わるようになります。要領というか、経験です。(笑)

同じ位置を2回測定しますので、その中心がグラフでは中心角ですね。角度では、上死点からの角度です。

中心角計算は、リフト量の大きい箇所の5本ぐらいから平均して計算します。
カーブの下側は、かなり誤差を含むからです。

しかし、排気側の測定や、2番3番など測定していると右周りの角度でメモしている以上出てきた数値がそのまま中心角になるわけではありません。グラフにして見てみるとわかります。720度計算も出てきます。

なぜなら、中心角は、排気は左周りの角度であり、読みとり角度は常に右回りだからです。

右回りでも、排気で全円分度器の左周りの角度で読みとったりしていれば、問題ないですけど。
これ書くと、意味がわからなくなるかな。。。忘れてください。

いつか、自分で測定して、グラフに書いたときに思い出してくれれば、言ってる意味がわかります。

だから、グラフ化するときは、左から右への測定角度と360度から引いた裏の角度を上下に書いておくと、もっと意味が分かりやすいです。あ・・・読んでるだけだともっと訳分からなくなりそう。。。すみません。

頭の中に、バルブタイミングの絵が全円分度器で理解できていないと難しいと思います。

勉強してもらうしかないです。測定時に間違えないように、右周りの角度で読んで計算で裏角を考慮するか?
上死点下死点の0と180を原点として、上死点後何度、下死点前何度で読みとって、計算を分かりやすくするか?

説明が難しくて、書けば書くほど、わからなくなりそうですね。。。

基礎知識を勉強してもらって、測定してもらうしかありません。



こんな感じで測定データをメモしてグラフ化しました。グラフ化する際は、トレーシングペーパーの1mm方眼をおすすめします。

これだと、吸気側4枚と排気側4枚を同時に重ねてカムの偏摩耗やプロフィールを判断する際、きれいに透けて見えるので作業性がよかったです。

エクセルでデジタルデータ化して、中心角計算も関数を使って見たりすると、かなり自己満足ですね。

でも、ジュリアをイジるのですから、データもアナログの方が苦労した資料っぽくて、人間味がありますかね。。。(笑)





今回のデータを全部公開しても、意味ないし膨大な量になりますので、サクッと表にしてました。

Type 105480320001 Factory cam 
インテーク側 測定時の気温 タペット
クリアランス
実測リフト量
(クリアランス含まず)
計算作用角 オーバー
ラップ
平均中心角
指定基準値 20度 0.475 10.06 281度 76度 99.5度
1番 16度 0.37 10.07 313度 69度 127度
2番 17度 0.46  9.87 298度 63度 124度
3番 17度 0.40  9.96 307度 60度 125度
4番 18度 0.43 10.11 297度 59度 128度
エキゾースト側 測定時の気温 タペット
クリアランス
実測リフト量
(クリアランス含まず)
計算作用角 オーバー
ラップ
平均中心角
指定基準値 20度 0.525 269度 76度 99.5度
1番 18度 0.50 10.12 264度 96.5度
2番 17度 0.50 10.00 273度 92度
3番 17度 0.53 10.00 261度 93度
4番 18度 0.56  9.98 256度 97度

考察;
(インテーク)

インテークのリフト量を見てみると、指定クリアランスに一番近いのは、2番。その時のリフト量は、9.87。ってことは他のクリアランスとリフト量を比較してみてもわかるように、0.25mm程度最大リフト量が摩耗しているようですね。

作用角は、だいたい、いい感じですね。指定クリアランスで調整すると、指定作用角程度になりそうですね。
ってことは、カムの尖った部分が摩耗しているってことですね。しかし、プロフィール図で見てみると、上り坂が約5度程度摩耗していました。下り坂の部分は、バルブスプリングで追従して行くだけなので、あまり摩耗しないのであろうと推測されます。

オーバーラップと中心角に注目してください。
以前、1番圧縮上死点をきっちり測定したときの、カムの刻みの画像を覚えていますか?
インテーク側が3mm遅れていました。エキゾースト側は、ほとんど線上に合っていました。

そのことからも言えるのですが、それが、今回数値で表示されたことになります。
インテーク側の中心角が大きいですね。(平均で126度くらいですね。)ってことは、バルブが開き始めるのが遅いんです。

指定は、約100度ですので、平均で26度程度遅れています。
以前、3mmズレている、カムの合いマークを合わせるためにクランクを回して、合いマークが合う位置でクランク角を読みとりました。すると、24度という数値でした。
そのことからもわかるとおり、もし合いマークに合わせていたら、丁度100度付近で中心角がセットされていた。ってことになりますね。

インテークが遅れている分、オーバーラップも狭くなっていますので、バルブが当たる訳じゃないですね。
でも、それだけ、パワーをきちんと伝えていなかったというのが実証されました。

(エキゾースト)

エキゾーストのリフト量は、クリアランス的にも、ほとんど既定値だと思います。

作用角も、クリアランスを既定値に合わせれば、ほとんど規定通りの作用角を得ることができそうですね。

中心角に少しばらつきがありますね。1と4が同じくらいの数値で2と3が同じぐらいですね。少し偏摩耗の傾向もありますが、誤差範囲内と言ってもいいぐらいでしょうか。。(そう解釈したいだけかも(笑)

結論;

インテーク用としては、カムが同型番で予備で2本ありますので、プロフィール測定をして、一番状態の良いものをインテーク側に使用することにします。
(大変だ〜。って言葉が聞こえてきそうですね。(笑)

エキゾーストは、このまま使用します。


あとがき。

今回、行った測定は、タペットクリアランスを実測のまま測定したこと。

実際、クリアランスを「0」で測定していれば、カムが作用し始めた時からのカーブが読みとれるのですが、今回はそのままですのでクリアランス内のカーブは読みとれません。
しかし、推奨作用角は、推奨クリアランスによって導かれるものであるので、そんなに影響あるとは思いません。

実際、計ってみてわかることですが、「作用角は、かなり誤差を持っている」と感じました。

それにくらべて、「リフト量はある程度信用できる」とも感じました。

なぜかというと、作用角はリフトし始める箇所を、ダイヤルが動き出す瞬間で角度を読みとり、リフトが終わる場所を角度で読みとるため、かなり誤差を含んでいる。

これと異なり、リフト量は、上がりきる付近から、下がり出す付近までを針で読みとるため測定誤差が起こりにくい。
これと、タペットクリアランスを慎重に測定していれば、熱膨張を考えない場合はかなり正確なリフト量を測定できる。

中心角測定を行って、バルブタイミングを設定するという作業は、いとも簡単のことである。

カムプロフィール作成は、測定データ自体が、一個のカム山に対して50回ほど中心角測定しているようなものであるからである。

じゃあ、なぜバルブタイミング調整が難しいのか??それは、「エンジンは生きているからである。」温度により膨張し、作用角自体が完璧に測定できないものであるからである。いろんな誤差を含んでいる。測定者のクセ、ダイヤルゲージの針の追従精度、カムの偏摩耗による判断ミス。

逆に、単純に純正のカムプロフィールを見て、中心角をセットして、指定のクリアランスにしたほうが良い結果が出るかもしれない。

もし、カムの合いマークを両側内内に寄せて、オーバーラップを稼ぎたい。と思う方がいるなら、かなり慎重に行ってください。もちろん、バルブリセスの確認はすると思いますけどね。

一般的には、それがより高回転型エンジンとしていい。と言われていますが、その逆の傾向もあります。だから、バルタイは奥が深いと言われるのです。

カムプロフィールを作成することによって、カムの曲線を方眼紙にトレースすることによって、膨大な知識と経験と応用が生まれるのである。そこには、プライベートチューナーとしては大きな差が生まれるものである。と思いました。

この作業により、圧縮上死点で、このカムはどれだけのクリアランスでどれくらい作用し、リフトするから、中心角を何度で設定すると、オーバーラップは何度になるから、バルブリセスは問題なく、カム特性としてはどうなる。

そして、中心角を5度刻みでズラしてセッティングして行くデータが、レースにおける勝利への切符だと考えます。

しか〜し、クランク角で5度とは、カムの合いマーク箇所では、どれだけになると思いますか?1ミリも無いんです。
そんな、世界を全円分度器も使わないでダイヤルゲージも使わないで、合いマークだけでズラしても、たしかなことは、言えませんよね。1番上死点がズレているかも確認していないなら、なおさらですしね。しかし、タイミングチェーンの延びもでてくるし。誤差が誤差を打ち消していればいいのですけどね。

確実な作業を行った上で「誤差」の話をするならまだしも、「誤差は出るから、大体で調整しても問題ないよ。」・・・とか、「バルブとピストンが当たらなければ後は、だいたいで。」など。
それでは、結果オーライでも、私は納得しません。そういうことを言う人に限って理解していない傾向にあるように思います。

これだけ自分で測定しないと、こんな事は言えませんね。(笑)
そういう私自身もこれから、データの蓄積をして、個人のノウハウとして役立てていくつもりです。


こんな、文章を全部読む人は、かなりアルファの毒が体に回っていますね。(笑)