また、この姿に戻る日まで・・・

エンジン取り外し作業

前期型、1300〜1600 後期型、1750〜2000
右ハンドル仕様、左ハンドル仕様、ユーロ仕様、USA仕様、伊藤忠ディーラー物。
大きくは、前期後期でエンジン、ミッションなど変わってきますが、前期型のエンジンの方でも
ある程度は、参考になると思います。
気をつける所。逆に、前期だと他にも気をつけて作業しないといけない箇所もあると思います。

※エンジンの脱着は、決して1人でしないでください。
  重量物を扱い、車体の下に潜っての作業になります。
  1人は、エンジン脱着経験者であることを強く勧めます。

エンジンスタンドや、油圧ジャッキ、思わぬトラブルがあったときは、手遅れになります。
最悪、エンジンや、ボディが傷ついても、自分の命には変えられません。
もしもの時の安全対策への配慮も怠らないようにしましょう。

安易な気持ちでの作業は、決してオススメしません。

ある程度の工具に対する知識も必要とします。エンジンを取り外す途中で
工具が無いと、そこでどうにもならないこともあります。思わぬ時間を掛けて
しまうことも出てきます。十分に下準備をして作業に取りかかりましょう。

★前準備★

周囲への安全が確認でき、なるべく水平な地盤の堅い箇所を選びましょう。
出来れば、コンクリートモルタルか、アスファルト上をおすすめします。

多少のオイル漏れや、クーラント漏れが発生します。
汚れてもいい対策を取りましょう。

ドア方向への作業は時にありませんが、前後へのスペースは広いにこしたことはありません。
エンジンスタンド(ウマ)最低でも2つ。油圧ジャッキ大、小。必要に応じてコンクリートブロック4つほど。
エンジンクレーンもしくは、上部鉄骨からのエンジンチェーン一式。

必要時間、始めての方は、ゆっくり作業工程を確認しながら4,5時間ぐらい見ておきましょう。
プロなら、二人で一時間ほどで外してしまうかも。。。。。


正式な作業手順とは!って言われると私もわかりませんが、作業性の良い方法で
実際に行った行程で紹介していきます。

バッテリー配線を外します。
エンジンルームにバッテリーがある場合は、ステイごと取り外しましょう。

ラジエター上部のキャップを外して、ラジエターの下のドレンプラグを外します。後期型は、左の所から、ユニバーサルジョイントを使って緩めました。穴からギリギリの位置にあります。

前期型は、位置が違います。エキマニ側のラジエターファン下側面にあります。
ボディ下にクーラント受け容器を準備してラジエター内のクーラントを全部抜いてしまいます。

画像のラジエター配線のトップホースを外します。

画像はありませんが、ボトムホースも外します。

要するに、ラジエターを外しますので、配線を外していきます。
リザーバタンクへの戻りの栓も外して、タンクも取り除きます。
ラジエター取り付けステイを外します。左右一カ所づつあります。ここを外すと、ラジエターは、上方向へすっと外れます。

ラジエター下の中央にラバー製のブッシュが付いているので無くさないように保管しておきましょう。
私の場合は、一度抜いたクーラントを全て戻します。
クーラントに満たされていないラジエター内は、空気に触れると短時間で錆びていきます。それを防ぐために再度、満タンの状態になるまで注ぎます。

エンジンを載せる時に、水に代えてエンジンが正常に可動したのを確認してから、フラッシング後に新品のクーラントに変えることを勧めます。

ラジエター内を空にしておく場合は、綺麗に水分を飛ばしてしまいましょう。

その後、トップホースとボトムホース、リザーバタンクへの戻り口への栓をします。トップホースとボトムホースの栓へは、お風呂用のゴム栓を使用しました。径33mmぐらいのものだとピッタリ栓できます。
ボンネットヒンジピンのところで取り外し、サポートストラップを外します。片側2カ所。

外れると、ボンネットが落下する可能性があるので1人はボンネットを保持して、ボンネットステイを解除して取り外します。

無くさないように、ステイやボルトは、管理しておきましょう。

私は、ステイ側にボルトを通して、テープで巻き付けておきました。
作業の邪魔になるので、クーリングファンを外します。
ウォーターポンプへ繋がっているホース類を外していきます。慣れてる人は、すぐわかりますが、自信がない場合は、画像で管理しておくことを勧めます。
ホース類は、当時のバンドを使用していることが多いのでOH後は、新しいものへの交換をオススメします。

ホースを外す場合も、ホース用の取り外し工具などがあれば楽に作業できるでしょう。
クランクプーリーの目印の金具の付け根にタコメーターケーブルの配線が来ています。プライヤーで取り外します。
ブローバイガスのリターンの配線、および、キャッチタンクを設置している場合は、取り除きます。
燃料系のラインを外していきます。キャブレターを外したことがある方は、わかっていると思います。

画像の箇所(フューエルタンクからキャブへ)を外すとガソリンが出てきますので、必ず、目つぶしの栓をしましょう。

この時に、キャブレターへの配線を外しておきましょう。
スロットルコントロールロッド(キャブの下)や、チョーク用のワイヤー、もちろん、キャブレターを外しても構いません。
バキュームサーボ(ブレーキブースター)への配線を外します。
オルタネーター(ダイナモ)や、スターターモーター、イグニッションコイルへの配線は、画像で保管して置くことをオススメします。

配線類を外していきます。
オルタネーター後ろのエンジンに付いている配線は、油圧センサーライトの配線です。
私の場合は、配線の先にどこに付いていたか分からなくなることを防ぐために、荷札をつけて管理しています。

初心者には、オススメします。
馬鹿みたいな、トラブルを無くすためには効果的です。
エンジンマウントのボディ側のボルト、ナットを両サイドとも緩めておきます。軽く手で外れるくらいまで緩めておきます。

エンジン側をここでは、外しませんでした。
エキゾーストマニホールドを外します。

マフラーのフロントセクションまでは、外した方が作業性が良いです。

ここで、フロント側を大きくジャッキアップして、下側からも作業できるようにしましょう。

リア側にもウマを掛けるか、タイヤ下へブロックを敷くとより、作業性がよくなります。

エンジンマウントを緩めていますので、間違ってもエンジンを持ち上げてジャッキアップなどしないように!

画像では、取り外しました。って感じですが、4in2のボルトナットが一カ所固着していました。マフラーのフロントセクションごと外して上から引き抜いてから、固着していたボルトナットを糸のこで切断しました。

フロントセクションは、マフラーサポートブラケットから分離させます。

初めは、力で緩めようとしていたので、ここで大きく作業時間がロスしました。

キャブレターを付けたまま、スターターモーターを外しました。
結果からいうと、すごく作業性が悪いです。
矢印の3カ所(下の画像分も含む)のボルトを外します。

取り外し作業に慣れていれば、問題ありません。

オイルプレッシャーゲージ配線も忘れずに外します。
これも、荷札付けました。
スターターへの配線は、アース線も含めて多く通っていますので画像で管理することをオススメします。

すべて、荷札で管理しています。
プロペラシャフト関係の取り外しにかかります。

フロントとリアをジャッキアップしてウマを掛け、しかもジャッキを安全性のためセットしたままにしておきます。
基本的に、リアを高めに上げて作業したほうが効果的です。

エンジンを取り外す場合は、エンジンとミッションとプロペラシャフトのセンターサポートまでは、取り外さないとエンジンが上がりません。

画像はありませんが、まずプロペラシャフトのユニバーサルジョイントフランジに合いマークをします。(センターサポート後ろのリアセクションとのボルトナットで止まっている所です。)二本引くとより、確実に管理できると思います。ここは、合いマークを付けますが、結果的には外さないでも作業できます。

リアセクションのスプライン部の可動域で、フロントセクションを引き抜くことができるからです。

以前、整備されたことがある方は、すでに合いマークが付いている可能性があります。
フロントセクションとスパイダーマウント(フレックスディスク)の接続を外します。

マフラーサポートブラケットのボディ側の固定ナットを外します。

同時に、センターサポートとフレックスディスクの間にある、プロペラシャフトのクロスプレートも取り外します。
ここも、矢印のように合いマークを付けています。同じ位置で組み付けるためです。ここの3つのナットを緩める時にコツがあります。ギアがニュートラルだとナットを緩める時にプロペラシャフトが回ってしまいますので、ギアを何速かに入れて固定させます。

その時、注意事項としては、リアタイヤ下にブロックを敷くだけで作業している方は、リアへの駆動が繋がっていますので車が動く可能性があります。

ですから、サイドブレーキを引くとか、緩める方向のシャフトの回転は、前に進む側に回りますので、ギアをバックに入れるなど、安全への工夫が必要だと思います。

また、3つのナットが120度間隔にありますので、1本外したら、固定を解除して、プロペラシャフトを廻して下側(外しやすい方)に送る作業を3回繰り返して外します。
センターベアリングサポートを止めているナットを外します。

このボディへの固定ナットを外すとフロントセクションがリアセクション方向へスプラインの可動範囲で移動出来ますのでリア方向へ引き抜けます。

マニュアル的には、ユニバーサルジョイントの合いマークをした箇所から外すようになっています。

引き抜けた後は、エンジンを取り外した後で、軽く組み付けておきます。
スパイダーマウント(フレックスディスク)の横にスピードメーターケーブルが来ています。タコメーターケーブルの時と同じように、プライヤーで緩めて引き抜きます。中に棒状のシャフトが入っていますので曲げないように気を付けましょう。
ベルハウジング下側のプレートカバーを外しています。
ベルハウジングへ貫通しているスタッドボルトとクラッチシャフトから引く抜く際に、フライホイールに当たって邪魔になりますので取り外しておきます。

前期型は、ベルハウジングが下側分離型になっています。
トランスミッションサポートの取り外し位置です。

片側2カ所あります。ここでは、4本とも緩めるだけにします。

この上にミッションマウントがあり、ここで取り外してしまうと危険です。通常なら、落ちては来ませんが、クラッチシャフトへの負荷や、ベルハウジングの固定ボルトへの変な負荷が掛かる可能性があります。

一番最後に取り外すことになります。
室内側から、シフトレバーを外します。私の2000は、たまたま軽量化のためセンターコンソールを取り外していますので簡単に作業が終わっていますが、実際2000GTVは、ヒーターコックが一緒に付いていますし、ヒーターファン可動スイッチとワイパースイッチもセンターコンソールに一体に付いています。

そういう配線を分離して、センターコンソール、インナーブーツも取り外してやっと、左画像の状態になります。矢印のボルトナットを外します。この時、絶対に、シフトレバータワーカップの隙間等からミッションの中にボルトやナット、ワッシャ等を落とさないように、細心の注意を払ってください。
取り外した状態です。これで、ミッションが下に落ちても車内側で邪魔になっているものはなくなりました。
下の画像説明の前にミッション分離作業と注意です。

リアのジャッキアップの角度を最大(ある程度の常識内)に上げておきます。ボディ下へ落ちてくるミッションをボディの下から引き出すために人が寝て作業できる高さと、ベルハウジングがボディ下で引き抜ける高さを、ミッション下で確保できるくらいの高さです。

フロントも少し上がっていないといけません。エンジンクレーンの足が入るスペース。

ミッションとエンジンの荷重が掛かった時にそのほうが作業性がよいからです。
すでに、エンジンマウントを緩めていますので、ミッションとエンジン一体となって下がり気味になりエンジンをつり上げる際に、都合がいいのです。

二人で共同作業しましたので画像が用意できませんが、文章で想像してください。

残りの作業として4つの注意点

@ベルハウジング下でミッションが落ちるのを受けるために、小型の油圧ジャッキを置きます。
(余分にジャッキが無い場合は、人が下で受け止める覚悟をしましょう。あお向けに寝て上からミッションが落ちてくるのを受け止めましょう。そんなに死ぬほど重くはないです。でも、急に落ちてくると骨折の可能性あり。)

Aエンジンとベルハウジングを固定しているナットをすべて外します。
 スターターモーターの取り付けだけしか外していないと思いますので、6カ所外します。
 この時、ベルハウジングへアース線が付いている所なども確認しておきましょう。(二つ下の画像で見えています。)

☆この他に、後2つ注意点があります。それは、下の画像で説明します。
B
画像では、すでにクラッチ側とエンジン側が分離されていますが、左画像はエラーをわざと写真に撮りました。黄色矢印

ベルハウジング一体になったミッションが落ちる際に、クラッチのレリーズシリンダー(スリーブ)の配線がステアリングのタイロッドに当たって負荷が掛かっています。

そのために、クラッチオイル配線を外す際は下で受け皿を置いて画像のようにシリンダーを固定して、配線を緩めてしまいます。

もし、それがイヤなら、下の画像のようにします。

ベルハウジング側にシリンダーを固定するステイが付いています。右側の黄色矢印にサークリップがあります。

それを専用工具で外して、左矢印のブーツの止めクリップをずらしてプッシュロッドを外し、エンジン側へシリンダーを引き外します。その後元の状態に組み付けてステアリングタイロッドをかわしておきましょう。
C
ベルハウジングがスタッドボルトの長さ分引き抜けた後、急激に落下しようとします。それを、防ぐためにジャッキや人が支えるのですが、その時にトランスミッションの荷重が、クラッチシャフトを通してクラッチプレートに掛からないように注意すること。

それと同時に左の画像のように、バックアップランプの配線に余裕がない場合は、配線が突っ張ってかなりやばいです。

速やかに矢印の配線を外しましょう。その際、接続は2箇所ありますので、どっちがどっちか、わかるようにセンサーと配線に同色の合いマークを付けることもおすすめします。
ミッション分離が終わると、エンジンクレーンを設置します。

この時に、リアを持ち上げている関係でフロントが下がり、クレーンの足が車の下に入らない可能性が出てきますので、その際は、当たる側のボディを少しだけパンタジャッキなどで上げるのも一つの策です。
再度、エンジン周りをチェックしましょう。なにか抵抗になっている箇所は無いか?もしくは、取り外していない箇所が無いかチェックしましょう。

この後、ヘッドのセンターにフックを掛けて持ち上げます。

エンジンマウントの固定ナットを完全に外します。
左画像で私の場合は、ブレーキブースターへの配線を外したラインがエンジンとボディに挟まったりしましたので、その辺も注意してください。

エンジンを少しずつ持ち上げます。

エンジンマウントからはずれてしまう瞬間に一人はエンジン前方からエンジンがフロント側へ急に動くのを防ぐために力を入れて支えておきましょう。
ゆっくりゆっくり、エンジンを上げていきます。

その際もボディや、補器類に当たらないように注意しましょう。
ひとまず、エンジンを降ろします。
この状態でエンジンをばらしていっても構いません。

これで、取り外しの作業は終了しました。

私の場合は、このままエンジンスタンドに据え付ける作業へと進みます。

そのために、邪魔になるスタッドボルトを抜きます。

後々、同じようにスタッドボルトを設置するために画像で管理することをおすすめします。このスタッドボルトの位置などは、すでにエンジンOHなどが実施されたものや、対策されている場合は状態が違うケースが多くあるようです。
わざわざ、解説するまでもありませんが、ダブルナットで外します。

ピンボケですみません。
内張を外してあり、ボンネットも外れて、ミッションも外して、エンジンが無いボディは、ものすごく軽いです。(当たり前ですけど。。)

エンジンを載せる前に補器類も外してエンジン内を再塗装する予定ですが、とりあえずこのまま長期保管することになります。

その際、リベットでボディ補強しようかな。。。

フロントの車高が、かなり上がったな〜(笑)

2ヶ月に一回は、タイヤの設置面を回転させることをオススメします。長期保存でタイヤが変形します。
エンジンスタンドの装着例です。

ここが、個人のノウハウのようなものですね。
クラッチ一式が付いても当たらないような細工を考えないといけません。

事前に寸法を計算して、エンジン側の通しボルトとスタッドボルトのネジ径と、ピッチを確認して、剛性も配慮して4カ所で固定しています。

説明しにくいですが、スタンドのアームからエンジン側固定の間のパイプは、水道配管用のパイプを利用しています。
固定ボルトをエンジン側の径に合わせる都合で、M8の13になります。そのためアームのボルト通しの径とパイプの径が大きくなり、パイプの中でボルトが遊んでしまい斜めに下がってしまうので、ロングナットを中に通して、ボルトの剛性と強度を上げています。

エンジンの水平方向の修正は、ナットを組み合わせて、微調整しています。

参考にしてください。
エンジンスタンドへの設置完了です。

今後、補器類を外して、ヘッドとオイルパン側を外した後でブロック状態になってから、エンジンを軽くして一度スタンドから外して、クラッチ一式を外して行く予定です。

その前にこの状態から、分解前の長い測定が待っています。

私の場合は、この状態になってからエンジンオイルを抜きました。エンジンがこの状態ですから、どんな作業でも楽にできます。
補足ですが、隣に2000のエンジンがもう一基あります。

部品取りになる可能性大ですね。。。(笑)

私のエンジンが仕上がったら隣のエンジンもOHする予定です。いつ完成するのやら。。。(笑)

ちなみに、隣のエンジンを載せているのは、ワンオフで作った
エンジン台です。ラジエターとバッテリーを装着でき、燃料をつり下げてマフラーを直間にすると、そのままエンジンを慣らしできるすぐれもの!
一日中3000回転で廻したら、何時間で慣らしが終了するのかな??(笑)うるさくそれどころではないでしょうけど。(笑)

上の画像の状態の、フル装着状態でエンジンスタンドに長期装着したまま
というのは、オススメしません。かなりの重量ですので、どうしても
この状態のまましばらく保存する場合は、下からジャッキや支えで
重量を逃がす工夫をしたほうがいいと思います。



それでは、エンジンの分解と現状測定へと参りましょうか。。。