準備は、整った・・・。

寸前のコンプレッションテスト



いよいよ準備が出来、エンジン取り外しの日になった。

朝靄の中、ガレージのシャッターを空け、予定どおりコンプレッションテストを実行する。

今日、エンジンを降ろすので、降ろす寸前でコンプレッションを計るのである。

以前、計ったのが夏。その後レース走行でコースを約50周、全快で走っている。

エンジンを開けてしまえば、早い話なんですが、この作業はエンジンの状態を把握するのに

意味のあるテストだと思うのでやってみることに決めていました。

今回こだわったのは、ドライとウェットによる計測差がどれくらいのか・・・。

ジュリアのマニュアル的には、圧縮テストで数値を記録しているデータはよくわかりません。

しかし、俗に平均13kg・cm2ぐらいとは聞いています。

11kg・cm2以下なら、OHしていい時期でしょう。とか、 8kg・cm2以下程度ならすでに

エンジンの状態が悪いのが原因である。と言える説もあるようです。

ただし、バルタイの影響をかなり受けます。

ここでいう、圧縮テストとは、圧縮比では無いので勘違いのないように。

まず、テストを行う前には、エンジンをウォーミングアップしてから行うこと。

私の場合は、エンジンを降ろす予定なので、ミッションや、デフなどを駆動させたかったので

走らせることで、暖気させることにした。バッテリーの充電の意味もあると思う。

走行後は、まったくアイドリングさせずにエンジンをすぐに切って、プラグの焼け具合を確認

この状態については、特に問題なかった。

コンプレッションテスターを各プラグ穴に順番に差し込みエンジンをスターターで回転させる

テスターの種類には、プラグ穴に上から強く押さえて計るタイプとプラグ穴のネジに合わせて

装着して、計るタイプがある。私は後者の方でテストした。

その時は、4本とも一気にプラグを抜いてしまう。ネジ込み式は一人でもできるが、二人で息を合わせて

確認しながら、行いましょう。計器の0セットを確認して、助手は、運転席でイグニッションキーを

捻って、スターターを回転させます。この時に、スロットルペダルは、全開にしてください。

メーカーによっては、全閉を指示する場合もありますがジュリアは全開でいいと思います。

私の場合は、事前にキャブレターのバタフライとスロットルペダルの全開が同期するように、調整しています。

そこまでやっていると、より正確な判断が出来ると思います。

エンジンの回転回数を必ず確認してあらかじめ決めた回数で

切るようにします。私は、9回で切るようにしました。通常は、8回程度のようです。

そして、数値の単位をkg・cm2で読みとり、二人で目視して数値を確認してデータを記録していきます。

一番気筒から測定したら、次々に測定していきます。



     ドライ測定が終了しました。


ドライ測定値 1番 2番 3番 4番
単位kg・cm2 10.2 10.6 10.8 10.8









次は、ウエット測定です。(サイドバルブエンジンでは、参考になりません。)

約、大さじ一杯分くらいのオイルを各ピストンクラウン部(頭部)に垂らして、同じように

一カ所ずつ測定していきます。前もって大さじ一杯程度が何滴になるか、数えていましたので

速やかに、プラグ穴から落として行きます。

アルファのピストンは、盛り上がっていますので、丁度プラグ穴から外周沿いに垂らして

いくと、ピストンを伝ってうまくトップリング上をシールしてくれそうですね。

もう、察しは付いたかと思いますが、トップリングを通過する空気の漏れを一時的にシール

するために、行います。これにより、ドライとウェットの数値の違いでバルブから圧縮が

漏れているのか、リング側から圧縮が漏れているのかが、おおよそ見当つきます。

一カ所だけ、数値が変わらないとか、大きく変わったとか。そういうことになると

エンジンの状態なんとなく想像できそうですよね。

ってことで、ドライとウェットの数値の比較を表にしてみました。





1番 2番 3番 4番
ドライ測定値 10.2 10.6 10.8 10.8
ウェット測定値 11.0 11.9 11.8 11.7
測定差 +0.8 +1.3 +1.0 +0.9






測定例の参考としては、たとえばドライ測定で一カ所だけ数値が小さく、ウェットの数値が

変わらないようであれば、ピストンリング側に問題があると言える。

逆に、ドライ測定で一カ所だけ極端に小さい数値が出たが、ウェットでの数値の増加量は

4カ所とも同程度上がったということであれば、バルブ側から圧縮が抜けてる可能性がある。

などと、大まかな見当が出ると思う。

シリンダーの状態として、ウェットからドライの数値を引いた時の数値が小さくなればそれだけ

シリンダーとピストンの状態が良い状態であるのも想像できると思う。

一般的に測定差が約0.7kg・cm2以下なら正常であり、2.0kg・cm2以上であれば不良である。

ウェット測定値の最大値と最小値を比較すると、バルブシールの状態を評価できる。

私の2000GTVの場合は、最大差は、2番と1番になり、0.9kg・cm2差が生じた。

0.4kg・cm2以下に収まっていれば、バルブは良い状態である。と言えるのだが・・・。

ちなみに、1.4kg・cm2以上の差が出た場合は、念のため再度測定してみて同じであるか

確認したほうがよい。ドライ測定やウェット測定でどちらも測定値が大きく低い気筒がある

場合は、バルブの不良を示していることになる。

また、データとして、ウェット測定値とドライ測定値の差が平均して、1.1kg・cm2以内に

収まってしまう場合は、エンジンオイルの燃焼が多いエンジンに出る傾向である。

そのことから判断すると、私のエンジンは、一番気筒が数値でどっちも低い数値を示して

いるので、一番のバルブから少し圧縮が抜け気味であると推測される。

ただ、私のジュリアは、全体的に圧縮圧力が低いので、エンジンOH時期であると言えるし

しかも、一番のバルブが怪しいよ。ってことがこの結果で判明した。


これを、記憶に残しつつ、エンジンの取り外しの作業へと移っていきます。。